連載「Technology Company Internals」では、テックカンパニーの内側で働くエンジニアに、技術に精通したエキスパートが対面で話を聞き、テックカンパニーとは何か?を探るだけでなく、テックカンパニーを目指す企業の指針となることを目指します。
「なんで人の会社のプログラム作ってるんだろう?」
白石: まずは自己紹介をお願いします。
中村: 中村と申します。ポスタスという会社で、開発部のマネージャーをやっています。
白石: 中村さんは、もともとどんなご経歴なんでしょう?
中村: もともとは、ポスタスの母体でもあるパーソルグループの会社で受託案件を中心にC言語開発を行っていました。でもある時、「なんで人の会社のプログラム作ってるんだろう?」と疑問に思ってしまい、自社でサービス運営している企業に異動しました。
白石: ぼくも昔SIerにいたので、その気持ちよくわかります(笑)ポスタスさん、設立からまだ2年だとか。
中村: あ、弊社はもともとパーソルキャリアという企業の社内カンパニーだったので、サービス運営開始は7年前からなんです。
白石: 御社が運営しているPOS+(ポスタス)って、どんなサービスなんでしょうか?
中村: 端的に言うと、POSレジのサービスです。飲食店様や小売店様に広くご利用いただいています。特徴は、プロダクトの多様さ、サービスの幅広さですね。「POSレジに付加価値を」をスローガンに、注文端末はもちろん待受モニターや、コロナで広がったテイクアウトからセルフレジまで、様々な機能を取り揃えています。図にするとこんな感じです。
POS+の開発スピードの秘密
白石: うお、すごい数のサービスですね!
中村: はい、現在13サービスあります。
白石: 社内カンパニー時代があったとはいえ、法人化してから2年でこれだけの数のサービスを、開発して運用して…ってすごいスピード感ですね。プロダクト設計も、開発も。
中村: そうですね、プロダクト設計というところで言うと、例えばうちのオフィスの2階にはコーヒー屋さんに入ってもらって、うちのプロダクトを使ってもらってるんです。だから、フィードバックをすぐに貰える。加えて、同じフロアに無人コンビニも作って、そこでもPOS+を使っています。そこの運営も行っているので、製品の改善点や顧客ニーズがすぐに分かります。
白石: なるほど!それはすごい。プロダクト開発のために、オフィスにお店を入れちゃうという。
中村: ユーザーの気持ちになるために、自分たちがユーザーになっちゃえばいいや、という発想ですね。他にも弊社には、プロダクトマーケティング統括部っていう組織があって、営業だけじゃなくてカスタマーサクセスの人員もいます。そうしてユーザーのリクエストを丹念に拾いつつ、自分たちが作りたい機能も合わせて、最終的には全員で合意形成して決めてます。
白石: ユーザーの要望を起点にしつつ、チーム全員でやることを決めている、と。それは、チームのモチベーションとかも高そうです。
中村: そうですね、ユーザーが喜ぶ改善を素早く取り込んでいけるのは楽しいです。あとうちは、使っていただいているのが飲食店とか小売店とか身近なお店が多いので、ふらっと入ったお店がPOS+を使ってくださっている場合も多いんです。そういうときは嬉しいですよね。そういうこともあって、作り手としてのモチベーションは高く保てている気がしますね。
「3年後」から逆算してインフラを作る
白石: 中村さんのポジションや具体的なお仕事についてお聞かせください。
中村: 弊社には開発部が2つあって、私の担当している部では、主にインフラやアーキテクチャなどの基盤づくりを担当しています。成長の速い企業ですので、スケールを見据えた仕組みづくりが必要なんです。
白石: スケールを見据える、というのは具体的にはどういう目標を立てて臨んでるんですか?マネジメントについてお聞きしたいです。
中村: 実は弊社では現在ビジネス上の目標として、「3年後に、今の規模の3倍を目指したい」ということが掲げられてるんです。なので、「3倍の規模に耐えられるインフラ」を目指して構築していますね。
白石: おお、ビジネスゴールとインフラがきちんと連動しているんですね。素晴らしい。
中村: はい、具体的な目標が掲げられているので、「3倍の規模に耐えられるインフラ」のコストやパフォーマンスについて、具体的な数値が割り出されているんです。あとはそこから逆算してインフラを構築している感じですね。
白石: 素晴らしい。極めて合理的。
中村: ビジネスゴールを意識すると、開発って仕事もより楽しいですよね。実際には、インフラや技術って普遍的なものではないし、要件や状況も刻一刻と変わるので、事業側の目標にミートさせていくのは難しい。事業が増えたり減ったり…とかまで予見できないですから。でも、その難しさがかえって面白かったりします。
「マイクロサービス化、技術的負債…投資対効果見えづらいですよね?」「経営側と4回くらい戦ってます」
白石: そういうスケーラブルなインフラを作るぞ、となるとやはりマイクロサービスアーキテクチャになってきますか?
中村: そうですね。とはいえやはり最初はモノリシックに作られていたので、そこをどうバラしていくか、重複する機能をいかにうまくまとめるか…とか、なかなか大変です。非常に長期的な観点での改善になるので、ジャーニーとか言われてたりしますよね(笑)
白石: 技術的負債とかも結構あったりする感じですか。
中村: うちではその単語使うと、経営に「負債ではない!」とか怒られちゃうんですが(笑)まさに技術的負債です。いっぱいあるので、負債返すのを手伝ってくれる人大募集です(笑)
白石: ちなみに、成長中の企業で、技術的負債を返したりマイクロサービス化を進めたり…って、なかなか難しくないですか?直接ユーザーの利益になるわけでもないし、投資対効果を経営者に説明するのも大変そうです。
中村: そこは、経営側と4回くらい戦ってます(笑)。もちろん目指すべきビジネスゴールは同じですが、きちんと開発側として必要なこと、やるべきことを示していくのが仕事だと思っています。
白石: おお!すごい。そして勝利を収めてるのがすごい。
中村: そうした改善って、結局のところインフラコストの節約にも繋がりますし、開発者の生産性も上がるんですよね。実際、開発スピードは向上しています。
白石: 開発者のモチベーションも上がりそうですよね。
中村: おっしゃる通りです。きちんと整った基盤の上で開発するのは楽しいですよね。あと、(インフラ・バックエンドの)改善プランを実際に実施できるのも楽しい。自分で考えた改善策を自分で実装できるというのは、開発者が一番喜ぶところですから。
白石: 素晴らしい。ちなみに、開発技術としてはどのようなものを使っていますか?
中村: 基本的には、AWSのマネージドサービスを活用していく方針です。データベースはAWS Aurora、マイクロサービスについてはAPI GatewayやLambda、コンテナはECS上で動かしている、と。
白石: プログラミング言語についてはいかがですか?
中村: 共通基盤はPythonで書くようにしていますが、それ以外の部分は基本的にTypeScriptですね。
白石: フロントエンドも、バックエンドもTypeScriptということですか。
中村: そうです。試しにそういう作りにしてみたら、学習コストも下がるし、共通化もしやすいので、生産性がとても高かったんです。先進的なことにはチャレンジしやすい環境なので、新しいもの好きな方にはいい職場だと思います。
求む!自分を活かしたい人
白石: 今日は、急成長中のサービスのマネジメントについて、貴重なお話をありがとうございました。最後に、読者の皆様に向けてメッセージをお願いします。
中村: うちは今、開発組織やプロダクトのマネジメントを行ってくれる方はもちろん、エンジニアも積極的に募集しています。「興味ある」「やってみたい」で構わないので、ぜひ気軽にご連絡いただきたいですね(TechFeed注: 本文の後に応募ページへのリンクがあります)。
白石: なるほど。どんな方に来てもらいたいとか、イメージありますか?
中村: これは個人的な想いなのですが、自分の技術や意欲を、環境のせいで活かしきれてないな…と感じているような方にお会いしたいですね。
白石: それは、以前SIerに在籍してらっしゃったころの中村さんそのものじゃないですか(笑)
中村: そのとおりです(笑)そういう方に、「納品がゴールじゃない」っていう職場で、あふれる意欲を思い切りぶつけていただきたいですね。「自分のノウハウを注ぎ込んで、レジをもっともっと進化させてやる!」みたいな。
パーソルグループのビジョンは「はたらいて、笑おう」って言うんです。だから、頑張れば頑張るほど、笑顔になる人が増えるっていう社会貢献になる。そういうのが楽しそうだって思える方、ぜひ気軽に連絡ください。
白石: とても素敵なお仕事です。では本日は、充実したお話、本当にありがとうございました!
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