7月15日、Linuxカーネル6.10がリリースされた。
最新バージョンのLinuxカーネルは、新しいメモリーシーリングシステムコール、IntelおよびAMDのCPUでのAES-XTS暗号化の速度向上、RISC-V向けのRust言語サポートの拡張などの改善が含まれている。また、今後のCPU、GPU、NPU、Wi-Fiなどのハードウェアに対する「初期サポート」も含まれている。
Linux 6.10の新機能と変更点
mseal()システムコール
仮想アドレス空間の一部を変更できないようにするmseal()システムコールが追加された。これは主にGoogle Chromeのサンドボックス強化に役立つ。メモリー割り当てプロファイリングサブシステム
開発者がメモリー使用を微調整し、メモリーリークを特定しやすくする新しいメモリー割り当てプロファイリングサブシステムが導入された。TPMとの暗号化された相互作用
信頼されたプラットフォームモジュール(TPM)との暗号化された相互作用が追加され、外部からの盗聴やパケット変更攻撃に対するカーネルの使用がより堅牢になった。Landlockセキュリティモジュールの強化
ioctl()コールにポリシーを適用できるようになり、システム全体のセキュリティが向上した。ネットワーキングの性能向上
io_uringを使用したゼロコピー送信操作の性能が向上し、送信および受信操作で複数のバッファを「バンドル」する新機能が追加された。
ハードウェアサポートの改善
- ASUS ROG 2024シリーズおよびLenovo ThinkPad 13XのサウンドがCirrus cs35l41ドライバーによって動作するようになった。
- Microsoft Surfaceドライバーがファンプロファイルの切り替えと温度センサーの報告をサポート。
- ARM搭載のAcer Aspire 1 (a114-61)は、新しいカスタムECドライバーにより、信頼性の高いバッテリー充電、USB Type-Cビデオ出力、蓋の閉じた状態の検出が可能となった。
ゲーム関連の改善
- Machenike G5 Proワイヤレスコントローラーがサポートされるようになり、Steam DeckのIMUモーションセンサー(加速度計とジャイロスコープ)のサポートが追加された。
- ASUS ROG AllyおよびASUS ROG Z13のHIDカバレッジが拡張され、QAMボタンやライトバーのサポートが追加された。
その他の変更点
- 新しい「Panthor」DRMドライバーが追加され、ARM Mali/Immortalis GPUをサポート。
- Qualcomm Snapdragon X Elite向けのDisplayPort/eDPサポート。
- Zone Write Plugging(ZWP)サポート。
- Power over Ethernet(PoE)の設定サポート。
詳細はLinux Kernel 6.10 Released, This is What's Newを参照していただきたい。