11月18日、海外のテクノロジーメディアomgUbuntuで、Linux Kernel 6.12の新機能と改善点について紹介した記事「Linux Kernel 6.12 Has Landed – And It's a Big One」が公開された。この記事では、Linuxカーネルの最新バージョンである6.12の主な機能や改善点について詳しく解説されている。
以下に、その内容を紹介する。
Linux 6.12の主要機能
リアルタイムカーネルのサポート
今回のバージョンで特筆すべきは、PREEMPT_RT(リアルタイム対応)のメインラインサポートだ。この機能はリアルタイムアプリケーションの性能を大幅に向上させ、特定のタスクが他の低優先度タスクを即座に中断できるようにする。PREEMPT_RTは2005年頃から開発が続けられており、複雑な実装が求められるため、長年かけてメインラインへの統合が進められてきた。Linux 6.12では、32ビットおよび64ビットのIntel/AMDシステム、64ビットARM、RISC-Vアーキテクチャに対応している。
専用スケジューラーの導入
Linux 6.12では、新たにsched_ext
が導入された。これは、BPFプログラムによってスケジューラーの動作を定義できるクラスである。例えば、ゲーマー向けにフレームレートを向上させるスケジューラーが開発されており、BPFを用いることで従来のスケジューリング挙動と大きく異なる動作が可能になる。
その他の変更点
ファイルシステムに関する改善も多岐にわたる。以下のような変更が含まれている。
- XFSがページサイズより大きなブロックサイズに対応
- nsfsがマウントネームスペースに関する詳細情報を提供
- EROFSがファイルに保存されたファイルシステムイメージのマウントをサポート
- FUSEサブシステムがIDマッピング付きのマウントをサポート
- NFSが
LOCALIO
プロトコルをサポート
また、カーネル開発者であるリーナス・トーバルズによって、Spectre-v1の対策で失われた性能を回復するためのユーザースペースアドレスマスキング手法も追加された。
カーネルパニック時のQRコード機能がLinux 6.12で追加されている。これにより、エラーメッセージをQRコード化し、デバッグ情報のアクセスが容易になる。
新デバイスサポート
毎回のカーネルアップデートに合わせて、多数の新デバイスがサポートされるが、今回も例外ではない。特に以下のデバイスが新たにサポート対象となった。
- ARMベースのGameForce Aceゲーミングデバイス
- ODROID-M15およびODROID-M2 SBC
- OneXPlayerゲーミングデバイスのセンサー
- Raspberry Pi 5の初期サポート
Wacomのタブレットサポートも向上し、特にスクロールの高解像度化やタッチリングの操作性が改善された。また、ファンプロファイルのサポートがASUSのVivobookに追加されるなど、ハードウェアの互換性も広がっている。
その他の注目点
- ARM64カーネルが保護されたKVMシステムのゲストとして動作可能
perf
ツールの新機能- Device Memory TCPのサポート
- FireWireの改善
- 新たなRustモジュール
このほか、セキュリティやパフォーマンス、互換性の向上が施されている。
詳細はLinux Kernel 6.12 Has Landed – And It's a Big Oneを参照していただきたい。