2月12日、Google Chromeがバージョン 145の安定版リリースを発表した。

このバージョンでは、次世代画像フォーマット「JPEG-XL」のサポート再開、および様々な新機能や改善を含んでいる。
JPEG-XLのサポートを再開
2022年、GoogleはChrome/ChromiumのコードベースからJPEG-XLのサポートを非推奨とし、その後削除した経緯がある。しかし、2026年に入り、この次世代画像フォーマットが再び戻ってきた。先月、Chromium/ChromeにJPEG-XLデコード機能が再びマージされたことが報じられたが、本日リリースされたChrome 145の安定版において、それが正式に導入されることとなった。
JPEG-XLの技術的背景
JPEG-XL(.jxl)は、既存のJPEG、WebP、AVIFなどの利点を統合し、さらに進化させることを目的とした画像標準規格である。主な特徴は以下の通りである。
- 高い圧縮性能と画質: 従来のJPEGと比較し、同等の画質で大幅なファイルサイズの削減が可能である。
- ロスレス圧縮: 写真だけでなく、複雑なグラフィックの可逆圧縮にも対応している。
- プログレッシブ表示: データの読み込みに合わせて段階的に高精細な画像を表示できる。
- JPEGからの無劣化変換: 既存のJPEGファイルを、画質の劣化なしに約20%軽量化して再構築できる独自の機能を備えている。
Googleは今回、Windows、macOS、およびLinuxシステム向けにChrome 145を安定版チャネルへ提供開始した。特筆すべき点として、BlinkエンジンにおけるJPEG-XLデコードの実装に、Rustベースの「jxl-rs」デコーダを採用したことが挙げられる。これは、従来のC++ベースのライブラリ(libjxl)よりもメモリ安全性を優先した、現代的なエンジニアリング判断である。なお、Chrome 145において本機能を利用するには、enable-jxl-image-format フラグを有効にする必要がある。
Chrome 145における主要な新機能と技術的詳細
今回のリリースには、JPEG-XL以外にも多くの改善が含まれている。
Device Bound Session Credentials (DBSC) の導入:
セッションクッキーをデバイスの公開鍵ペアに紐付けることで、クッキーの盗用(Cookie Hijacking)を無効化する。具体的には、ブラウザが新しいHTTPヘッダSec-Session-Responseを介してサーバーとやり取りし、TPM(Trusted Platform Module)等で保護された鍵による署名検証を行う。これにより、攻撃者がクッキーを盗み出しても、物理的に異なるデバイスからはログイン状態を維持できなくなる。IndexedDBのSQLiteバックエンド移行:
これまでIndexedDBのストレージエンジンにはLevelDBが使用されていたが、Chrome 145よりSQLiteへの移行が開始された。LevelDBはシンプルなKey-Valueストアであり、複雑なクエリや破損耐性に課題があった。SQLiteに移行することで、SQLエンジンの堅牢なトランザクション管理とデータ整合性の恩恵を受けられる。当面はシークレットモード等のインメモリ処理から適用され、将来的に永続ストレージ全体に波及する見込みである。DOM要素への
upsert()メソッドの追加(Atomic Move):
単なる「Upsert」という呼称よりも、DOMツリーにおける「状態を保持したままの移動と更新」を指す。具体的にはElement.prototype.upsert()のようなAPIにより、既存の要素があれば属性を更新し、なければ挿入する処理をアトミックに実行可能にする。これにより、SPA(Single Page Application)等でDOMの再描画(Re-render)に伴うスクロール位置やフォーカスの消失を防ぐことが容易になる。ユーザーエージェント(UA)文字列の削減と簡素化:
プライバシー保護のため、UA文字列から詳細なバージョンやデバイス情報が削除された。旧形式:
Mozilla/5.0 (Windows NT 10.0; Win64; x64) AppleWebKit/537.36 (KHTML, like Gecko) Chrome/144.0.0.0 Safari/537.36新形式:
Mozilla/5.0 (Windows NT 10.0; Win64; x64) AppleWebKit/537.36 (KHTML, like Gecko) Chrome/145.0.0.0 Safari/537.36(※マイナーバージョンや詳細なビルド番号が0.0.0に固定されるなどの簡素化が進む)
詳細な情報を必要とする場合は、User-Agent Client Hints (UA-CH)APIを使用することが推奨される。**CSS
text-justifyプロパティとcolumn-wrap**:
タイポグラフィの制御が強化された。特にtext-justify: inter-character;は日本語の禁則処理や均等割付を美しく制御する。また、マルチカラムレイアウトにおけるcolumn-wrapは、要素が列をまたぐ際の挙動をより柔軟に定義できるようになっている。
詳細はGoogle Chrome 145のリリースノートを参照していただきたい。