なぜ、「2020年代はオブジェクト指向が衰退した」という嘘の印象を持つエンジニアが多いのか?
ARANK
はじめに「2020年代はオブジェクト指向が衰退した」という言い方は、事実の一部だけを見て全体に拡張した見方です。実際に弱くなったのは、深い継承ツリーやUMLの完全記述、XMLやSOAPと結びついた重い企業開発の作法であって、オブジェクト指向の中核そのものではありません。むしろ2020年代の主流言語や設計実践は、オブジェクト指向を否定する方向ではなく蒸留する方向に進みました。Goはinterfaceを暗黙実装にし、TypeScriptは構造的部分型を採用し、Swiftはプロトコル合成を前面に出し、Rustはtraitとトレイトオブジェクトで共有振る舞いと多相性を扱います。共通しているのは、固定的な階層より役割と合成を重視することです。ところが現場で見えやすく弱くなったものが、ちょうど2000年代に「オブジェクト指向らしさ」の看板になっていました。そのため、看板が外れると建物まで消えたように見えます。これは技術の中身の話である以上に、技術をどう記憶してきたかという認知の問題です。継承や大きなクラス図は見えやすく、カプセル化や責務分離は見えにくいので、前者の後退が後者の消滅に誤認されやすいのです。つまり本稿の焦点は単純です。なぜ多くのエンジニア…